トップ選手だと、氷上を時速140キロ以上で滑走し、1000分の1秒を争うリュージュは、冬季スポーツの中でも特に高い技術と度胸が求められる競技です。
その過酷な世界で戦うのは、今回、日本から唯一のオリンピック日本代表選手の小林誠也選手です。まだ競技人口の少ないリュージュ界において、小林誠也さんは、大会も積極的に参加して、経験を積んできました。
ミラノ・コルティナオリンピックでは、リュージュ一人乗り〇位という結果を残しました。
*ここで、結果をお知らせします。
本記事では、リュージュ競技の基本的なルールや魅力をわかりやすく解説するとともに、小林誠也のプロフィールやこれまでの競技経歴、主な大会成績を整理します。競技にかける想いや将来への展望にも触れながら、小林誠也とリュージュ競技の関係性を深掘りしていきます。
リュージュ競技とは?ルールと魅力をわかりやすく解説
リュージュ競技は、氷で作られた専用コースを仰向けの姿勢で滑り降り、ゴールまでのタイムを競う冬季スポーツです。選手は小型のソリに乗り、ハンドルやブレーキを使わず、体重移動や脚の操作のみでコースを制御します。最高速度は時速140キロを超えることもあり、冬季競技の中でも特にスピードと精密さが求められる競技として知られています。日本ではまだ認知度が高いとは言えませんが、世界ではオリンピック競技として確固たる地位を築いています。
リュージュ競技の基本概要
リュージュは1人または2人で滑走し、スタートからゴールまでの所要時間を競うタイムレース形式の競技です。スタート時には選手自身が腕を使って加速し、その後は重力と慣性を利用して滑走します。コースは急カーブや高低差が連続する構造になっており、わずかな操作ミスがタイムに大きく影響します。選手はコースを事前に記憶し、頭の中で滑走イメージを作り上げたうえで本番に臨みます。肉体的な強さだけでなく、集中力や判断力が重要視される競技です。
小林誠也さんは、1人乗りでオリンピックに臨みます。
リュージュのルールと採点方法
リュージュ競技のルールは比較的シンプルで、決められたコースを規定通りに滑走し、最も速いタイムを記録した選手が勝者となります。大会によっては複数回滑走し、その合計タイムで順位を決定します。フライングや規定重量の超過、危険行為があった場合は失格となることもあります。採点要素はなく、純粋なタイム勝負である点が特徴です。そのため、安定した滑走とミスの少なさが成績に直結します。
使用されるソリと装備の特徴
リュージュで使用されるソリは、非常に薄く軽量で、氷との摩擦を最小限に抑える設計が施されています。海外の選手のソリには、すごい開発費をかけています。小林誠也さんによると、そのため、海外の選手はコーチがずっとソリを持って移動中に誰にも見られないようにしているそうです。
リュージュ競技のスピードと迫力
リュージュの最大の魅力は、圧倒的なスピード感です。氷壁がすぐ目の前を流れるように通過し、カーブでは強烈な遠心力が体にかかります。選手はその中でも冷静に姿勢を保ち、最短ラインを狙って滑走します。テレビ映像では伝わりにくいものの、実際には非常に迫力のある競技であり、一瞬の判断が命取りになる緊張感が常に伴います。
世界で戦うために必要なこと
ソリに乗るにはいろいろルールがあるそうですが、興味深く感じたのが体重制限です。基準体重は90kgで、90kgより体重が少ない人は、90kgまでおもりをつけることができるそうです。
体重は重いほうが加速力がつきます。筋肉だけの体格もよくなくて、ただ太っていうのはちょっとまずいと思うんですけど、すこし脂肪がついてても良いんです。というのはソリにサスペンションがないので体で衝撃を吸収しないといけない。
小林誠也選手談
小林誠也さんは、1日に5食食べて体重を増やしたそうです!
世界と日本におけるリュージュ競技の位置づけ
ヨーロッパを中心にリュージュは盛んに行われており、専門施設や育成環境が整っています。しかしながら、日本では、厳しい環境であると言わざるをえません。
長野市にあった唯一のソリ滑走ができた施設「スパイラル」が2018年から製氷が休止され、国内ではそり競技の練習ができない状態です。その為、小林誠也さんは、長野市の企業で働きながら、1年の大半を海外ですごし練習を重ねています。
他のそり競技(ボブスレー・スケルトン)との違い
同じそり競技であるリュージュ・スケルトン・ボブスレーの違いを見分けることは、競技を初めて見る人、あるいは見たことのない人にとっては、おそらく難しいだろうと言われています。どの競技も、驚異的なスピードで氷上の狭いトラックコースを滑り抜け、その速さを競うタイムレースの競技だからです。コースの脇から実際に観戦すると、想像を超える高速スピードで疾走するパフォーマンスと、アスリートの並外れた勇気に圧倒されます
リュージュ
リュージュは、背中をそりに預け、脚を前方に伸ばした姿勢で氷のトラックを滑り降りる競技です。スタートは座った状態から行われ、選手は両手で氷をかいて勢いをつけ、一気に加速します。

コースに入ってからはハンドル操作を行わず、体重移動によってそりをコントロールします。わずかな体の傾きが進路を左右するため、非常に繊細な感覚が求められます。カーブではスピードを落とさないよう角度を調整しながら滑り抜けていきます。リュージュは、そり三競技の中で、最も低い姿勢で滑走します。
滑走中の平均速度は時速120km前後、条件がそろえば145kmに達することもあります。またリュージュは、オリンピック競技の中で唯一、1/1000秒単位でタイムが計測される競技としても知られています。
スケルトン
スケルトンは、リュージュとは異なり、立った状態でスタートを迎えます。選手は約40mのスタート区間をそりを押しながら全力で走り、その勢いを保ったまま、頭を前にしたうつ伏せの体勢でそりに乗り込みます。
進行方向がそのまま視界に入るため、スピード感と緊張感は非常に強く、時速130kmを超える高速滑走となります。体重移動でコースを制御する点は共通していますが、よりダイレクトに氷を感じる競技といえます。
ボブスレー
ボブスレーは、冬季オリンピックが始まって以来、すべての大会で実施されてきた、最も歴史のあるスライディング競技です。
両側を鋼鉄で囲まれたそりの中に乗り込み、座った姿勢で滑走します。50m以上のスタート区間で選手たちがそりを押して加速し、スピードが乗ったところで内部へ乗り込みます。操縦は前方の選手がハンドルで行い、後方の選手はブレーキ操作を担当します。
ただし、スピードが勝敗を分けるオリンピックの舞台では、意図的に減速するためにブレーキを使う場面はほとんど見られません。
小林誠也のプロフィールと競技経歴まとめ
小林誠也は、日本のリュージュ界で将来を期待されている選手です。競技人口や練習環境が限られる日本において、継続して競技に向き合い、経験を積み重ねてきた点が特徴です。リュージュは海外での活動が不可欠な競技であり、時間的・経済的な負担も大きい中で、小林誠也は地道な努力を続けてきました。ここでは、基本的なプロフィールから競技を始めた背景、これまでの歩みを整理していきます。
小林誠也の基本プロフィール
小林誠也さんは日本出身のリュージュ選手で、国内外の大会に挑戦しながら競技力向上を目指しています。リュージュは身体能力だけでなく、繊細な感覚や集中力が求められる競技であり、小林誠也は安定した滑走と冷静な判断力を強みとしています。派手さはないものの、基礎を重視したスタイルが評価されており、着実に経験値を積み上げてきた選手といえます。日本では数少ないリュージュ競技者として、貴重な存在でもあります。
生年月日: 2001年8月11日
出身地: 長野県飯綱町
所属: 中外印刷株式会社
・インスタグラム:https://www.instagram.com/koba.201/
・中外印刷株式会社HP:https://www.chugai-printing.co.jp
リュージュを始めたきっかけ
小林誠也さんがリュージュを始めたのは、小学5年生の頃です。
長野県がSWANプロジェクトという将来のオリンピックメダリストを発掘育成するというプログラムを開催していて、その応募のチラシが小学校にあり、その中にスキー、スケートに並んでリュージュがありました。小林誠也さんは、「リュージュ」という響きにすごい惹かれて、始めたそうです。当時、長野市には日本に唯一のコース・長野スパイラルがあり、その「スパイラル」で競技をはじめました。
本格的に競技に打ちこんだのは、高校2年生の時です。

ミラノ・コルティナオリンピックにかける想い
初出場の北京オリンピック(2022)では32位と悔しい結果となりました。
小林誠也さんは以下のように振り返ります。
大きい試合に慣れていなくて、試合の日にご飯が全然食べれないくらい緊張していました。気持ちの部分と技術の部分と全部が足りてなかった。
日本の戸城正貴コーチが米国指導者と親交があったこともあり、提携が実現したアメリカナショナルチームとの練習。4シーズン前から、アメリカナショナルチームとの練習を重ね、大会にも積極的に参加してきました。アジア選手権は2022年から3連覇と着実に実力をつけてきています。

今回のオリンピックは、15位を目指しています。日本の歴代の男子一人乗りのオリンピック記録が16位なので、そこを超えていきたい。
「30代が活躍する競技」—小林誠也が見据えるその先
小林誠也さんは、リュージュの世界では若手です。
リュージュは年齢の若い選手よりも経験を積んだ、30代以上のベテランの方が強い選手が多いのです。もし2030年に札幌オリンピックが開催されれば、リュージュは長野スパイラルでの開催予定です。
小林誠也さんは、先のオリンピックに焦点を合わせています。
そのとき僕は28歳で、ある程度滑走の経験も積めています。そこに向けて、今のうちに力をつけていきたい。少しでも競技で結果を残すことで、自分がメディアに取り上げられたり、SNSをもっとうまく活用できれば、「リュージュ」という競技の認知度が上がって、日本でリュージュをやれる環境も良くなったりできるようにしたいです。
リュージュは、日本ではまだ認知度の低い競技であるため、一般的な部活動や学校教育で触れる機会は多くありません。そそうした環境の中で、あえてこの競技に可能性を見いだし、挑戦を決意した点は、小林誠也さんにとって大きな転機となったのではないでしょうか。
自らが結果を残すことで競技の価値を示し、日本のリュージュ界を前へ進めていく。その覚悟が、日々の挑戦を支えています。
小林誠也の主な大会成績と評価
小林誠也さんは、国際大会に出場しながら実戦経験を積み重ねてきたリュージュの選手です。日本では競技環境が限られる中でも、継続的に大会へ挑戦し、安定した滑走を武器に評価を高めてきました。リュージュは一瞬のミスが結果を大きく左右する競技であり、完走率や安定感も重要な指標となります。ここでは、小林誠也さんの主な大会成績と、それに対する評価を整理します。
国際大会の成績
小林誠也さんの主な国際大会での成績はこちらです。
2019-20年シーズン ジュニア世界選手【ドイツ・オーバーホーフ】:28位
2021-22年シーズン 北京オリンピック:32位(日本のリュージュ出場は8年ぶり)
2023-24年シーズン 世界選手権【ドイツ・アルテンベルク】:24位
2024-25年シーズン ワールドカップ【オーストリア・インスブルック】:16位
2024-25年シーズン ワールドカップ【米国・パークシティ】:14位(ワールドカップ最高成績)
2024-25年シーズン ワールドカップ【ドイツ・オーベルホフ】:25位
2024-25年シーズン ワールドカップ【イタリア・コルティナ】:34位
アジア選手権は2022年から3連覇を遂げています。
まとめ
リュージュ競技は、極限のスピードと繊細な操作技術が求められる奥深い冬季スポーツです。その中で小林誠也さんは、限られた競技環境の日本においても着実に経験を積み、競技力を高めてきました。
25枠しかない1枠を勝ち取った、小林誠也さん。「正直、ほっとしてる」とテレビインタビューに答えていました。彼の挑戦は、リュージュ競技そのものの魅力を広げていくと期待します!
今後は、日本に、リュージュの存在を知らしめ界を支える存在としての活躍が期待されます。


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